574 「キリスト教教義の源は聖書とギリシャ哲学」・・・ 「キリスト教思想史の諸時代〈1〉ヨーロッパ精神の源流」(金子晴勇、ヨベル新書、 2020年)

 全7巻予定の1巻目です。これと2巻目を見る限り、このシリーズはまったくの書下ろしではなく、著者がこれまでに書いたり何かの本に収められていたりする20頁くらいの小文数編を書き直したものに、いくつかの書下ろしを加えたものです。したがって、章と章の流れ、全体におけるある章の位置がかならずしも明確ではありません。つづく5巻も各巻のテーマごとに既存の小文を集めたものが中心になるのでしょうか。

 

 本巻では、ギリシャヘブライという、ヨーロッパ思想のふたつの源流について述べられています。両者には大きな違いもありますが、旧約聖書やその周辺のヘブライ書物は紀元前末期にはギリシャ思想の影響を受け始め、新約聖書の諸書物にもその影響は見られます。

 やがて、旧約聖書新約聖書を基にキリスト教思想が形成されていきますが、そこにもギリシャ思想が援用されます。三位一体というキリスト教の教義も、聖書の思想だけでなく、ギリシャ思想にも助けられて形成されたものです。

 本書は、ギリシャ思想、旧約聖書新約聖書の思想それぞれについて各章で述べ、終盤では、そこからキリスト教思想へとつなげられています。

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