「総特集 井上ひさし やわらかく、ときに劇的に」(KAWADE夢ムック、2013年)
1)大江、丸谷らとの鼎談を読みながら、井上ひさしさんもノーベル賞並みの仕事を残していると思いました。
2)小沢昭一との対談「歌舞伎あれこれ」で、井上さんが今の歌舞伎を評価していないことと、その理由が書かれていて、なるほどと思いました。
3)井上さんのエッセイ「NHK受信料非拒否の論理」は、本多勝一の「NHK受信料拒否の論理」を愛読したわたしには新鮮。NHKへの批判という点では、両者は同じですが(そういえば、ふたりとも週刊金曜日の編集委員だった)、井上さんは「受信料を払いつづけると同時に、わたしはNHKの番組のきびしい検閲者でありたいとねがっている」と述べています。
4)水谷八重子、すまけい、熊倉一雄、三宅裕司、野田秀樹、大竹しのぶら、演劇人による、井上さんについてのエッセイもおもしろい。
5)くわえて、ペシャワール会の中村哲(井上さんは中村さんのアピール講演活動にかなり協力したらしい)さん、仙台一高の同窓生にして憲法学者の樋口陽一さんのエッセイも貴重(「頭痛、肩こり、樋口一葉」はこれとは無関係のようだけど)。
6)悩まされもしたが、井上さんを愛した名編集者たちのひさし像も楽しい。