星の王子さま」の「原作者の遺族公認」のコミック、池澤夏樹訳を読みました。一〜二年前に河野万里子訳を読んだのに、王の星あたりに来るまで、ストーリーを思いだせませんでした。

よく言われていることなのかも知れませんが、王や大物気取りの男、地理学者などとの絡み、蛇にかまれるラストを含めて、イエスの話を想起させる、と今回思いました。

井戸の場面では、「あなた自身の井戸から水を汲み/あなた自身の泉から湧く水を飲め」(箴言5:15)を思いだしました。オリジナルの意味は、妻以外の女性を貪るな、ということのようですが、キリスト教二千年の歴史ではどのように解釈されてきたのでしょうか。テグジュペリはそもそもここで箴言を意識していたのか、オリジナルの意味でか、キリスト教によって解釈された意味においてか・・・

解放の神学者 グスタボ・グティエレスに「自分の井戸から飲む」という著作がありますが(邦訳は「解放の地平をめざして--民衆の霊性の旅」)、そこでは、自分が生きている歴史的社会的状況によって、霊性(神との関係、他者との関係)を養うべきことが語られています。