2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
本書は、WCC(世界キリスト教協議会)関連の文書を中心に、セクシュアリティをめぐる議論の大まかな流れを示しています。人間社会では「性は男性と女性に二分され、異性愛が『正常』であり、それ以外のセクシュアリティ(たとえば、中性、トランスジェンダー…
差別とは何でしょうか。著者は、性別や人種に基づいて人々の間に区別をつけることと、試験の得点やくじ引きやジャンケンで区別することは、どこか違う、と言います。「差別とは、人々の間に何らかの特徴に基づいて区別をつけ、その一方にのみ不利益を与える…
ぼくたちは、イザヤ書ってだいたいどんなことが書かれているのか、知りたいと、なんとなく憧れているのですが、本書で大島先生はそれをとてもわかりやすく述べてくださっています。 ところで、聖書の中心メッセージは、インマヌエル(神は私達と共にいる)、…
「読むと書く」。若松さんの公式ホームページはこう名付けられている。 本書でも、「読むと書く」が、書かれ、読まれる。 ぼくの生活も、本を読み、書くことである。読んだ本の「誤読ノート」を書く。 もうひとつは、聖書を読み、そこから人に語ることを書く…
わたしたち人間はなぜ人を差別するのか、その諸説を知る一環で、この本も手にしてみました。 「人は「自分に似ていて少しだけ違う人」が気になり、場合によってはその人を攻撃して追い出そうとしたり、逆に「そんな人はいないんだ」と否定しようとしたりして…
副題の「できるを科学する」とは、どういうことでしょうか。 「できる」という言葉は、「できる=優れている」というような能力主義に結びつきがちですが、そうではなく、本書では「『できるようになる』という出来事そのものがもつ不気味な面白さや想像を超…
タイトルは「新しい故郷」という意味です。難民の旅が描かれています。アブラハム一族も難民ではなかったか、と言われています。旧約聖書によると、四千年ほど前、アブラハムはチグリス・ユーフラテス河口を出て、川沿いに進み、古代シリア北部、現代のトル…
この本のタイトルを見て、悪質でない差別があるのか、差別というものはそもそも悪質なものなのではないか、と思う人もいるのではないでしょうか。あるいは、区別は悪質ではないが、差別は悪質だ、と考える人もいるでしょう。 けれども、差別という言葉は、「…
2年前に召された教会員の蔵書をご家族が、教会の皆さまに、と持ってきてくださった中にこれを見つけました。 著者は、これは説教集ではないとしています。「ここに収録された文章は、礼拝で語られる説教のように、聖書の解釈や解釈の伝統を厳密に吟味したり…
ぼくもほぼ毎週日曜日「説教」をし、その午後は疲れ気味ですが、月曜日には「起き上がって」、つぎの日曜日を目指して歩き始めます。 そんなわけで、大学の学生や各地の教会で「説教」をしておられる著者から学ぼうと手にしました。「まるで今日、初めて聖書…
巻末で若松英輔さんがつぎのように書いています。 「人は死んでも「死なない」。むしろ、「いのち」として新生することを、詩は私たちにそっと教えてくれる」(p.161)。その「いのち」は、ブッシュ孝子さんの詩の中にすでに表れています。 「あの日以来 私の…
本書には五つの論文が含まれていますが、そのうち、「旧約聖書における自然と人間」「旧約聖書とユダヤ教における食物規定(カシュルート)」「旧約聖書における「平和(シャローム)」の概念」の三つから、大切に思われた点について以下に記します。 (もう…
本書は、オンライン環境での神学教育と学修について論じられています。 その利点として、たとえば、以下のようなことが挙げられています。 「オンライン教育は必然的にある環境を作り出せる。学生の人種やジェンダーや民族や障碍や社会的背景を、その学生が…
たとえば、ある小学校のクラスに、中国籍、韓国籍、日本籍の児童がいたとします。そうすると、最近は「多様性の尊重」ということを言います。それぞれの個性、文化、歴史、言語を大切にしようと。「多文化共生社会を」と。しかし、これだけしか言わないなら…