2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

844 「善いことを自分でしてはならない」 ・・・ 「善き力 ボンヘッファーを描き出す12章」(イルゼ・テート著、岡野彩子訳、新教出版社、2024年)

「右の手をしていることを左の手に知らせてはならない」(マタイ6:3)イエスのこの言葉をボンヘッファーはこう解釈する。 「キリストの善、つまり服従による善は、知らずに起こる。真の愛の業は常に自分に隠されたものである。真の愛の業は自分に隠されたもの…

843 「幾重もの差別心をどこまでも掘り下げる」 ・・・ 「差別感情の哲学」(中島義道、講談社学術文庫、2015年)

差別は人を傷つける。差別はなくならなければならない。ぼくはこのように考えています。 同時に、自分は個人的にも社会構造においても、人を差別している、と実感し、認識しています。しかし、そう思うだけ、想わない人より「ましだ」とも思っています。けれ…

842 「精神医学とキリスト教信仰の結び目」 「不安と孤独の処方箋 病の教訓、聖書のヒント」(石丸昌彦、日本キリスト教団出版局、2024年)

石丸医師の著書をわたしが読むのは、「老いと祝福」についで二冊目だと思いますが、今回も、多くの示唆をいただき、また、おおいに共感でき、慰めの読書となりました。 この本に記されていることで、わたしにとって大事に思えたことがらを、引用、もしくは言…

841 「精神のあり方を、大学ではなく、人類に位置付ける」・・・「新版 分裂病と人類」(中井久夫、2013年、東京大学出版会)

「分裂病」が「統合失調症」と言い換えられて久しいし、その言い換えの意味にわたしも強く賛同しますが、ここでは、本書からの引用などでは「分裂病」をそのまま用います。第一章は「分裂病と人類」、第三章は「西欧精神医学背景史」とあるように、本書は「…