「優しいあかりにつつまれて」(著者:たかいちづ、たけざわさおり イラスト:ひらたゆうこ、ひらたひさこ、2014年)
悲しみから癒されたい、この人が苦しみから癒されてほしい。ぼくたちは、すぐに癒しを求めてしまう。人が、すぐに、癒されることを望んでしまう。
けれども、阪神淡路大震災と東日本大震災で、ふたりの子どものひとりを天に送ったママたちは、「子どもを想いながら悲しみ続けることは後ろ向きではなく、私たちが一日一日を生きていくことにつながる、大切な想いである」(p.101)と教えてくれた。
一歳半のふたごのうち、男の子が空に帰ってから、19年。ママと、女の子と、パパは、悲しみ続けながら、けれども、たしかに一日一日を生き、育ってきた。その「大切な想い」のアルバム。
家族を失くした人も、そうでない人も、子育て中の人も、きっと、読み入ってしまうことでしょう。
著者である二人のママの子どもは、かたや、ふたごの男の子と女の子、かたや、お兄ちゃんといもうと。イラストもふたごの女性。ぼくらにもふたごの男の子。
死者も家族であり、死者とともに家族が成長していくことが伝わってきた。
だから、悲しみから癒されない方がいい、悲しみがなくなれば死者もいなくなってしまうかも知れないから。ともに、歩み、育てなくなってしまうから。「大切な想い」が消えてしまうかもしれないから。