旧約聖書、新約聖書は、一冊に製本すれば、上下に段組みで二千頁にわたり、そこには、六十六の書物が収められています。
これらの書物は同じ時代に書かれたものではなく、したがって、著者も多数いるのですが、これら全書物を一貫するテーマを見つけよう、言い表そうと、読者、キリスト教徒、神学者、宣教者らは、つねに考えてきました。
たとえば、「旧新約聖書は、一貫して、神さまの愛を語っています」、「一貫して、神さまの救いを語っています」「神さまへの人間の信仰を語っています」など、さまざまな言い方ができるでしょう。
本書は、それを「神と共に生きる」と言い表しています。これは、人間の信仰から見た表現、人間を主語とした表現でありましょう。神さまを主語としては、インマヌエルという旧約聖書にたびたび出て来る言葉を翻訳して、「神さまはわたしたちと(あなたと)共におられる」という言い方がなされてきました。つまり、「神と共に生きる」という本書の表現は、「神が共にいる」という聖書の表現と対になっています。
本書では、旧約聖書、新約聖書が「神と共に生きる」という切り口から概観されています。旧約聖書はおもに創世記やイザヤ書、新約聖書は福音書、使徒言行録、パウロ書簡、ヨハネ黙示録から引用されています。
旧約聖書は主として「父なる神」、福音書やパウロ書簡、黙示録は「御子イエス・キリスト」、使徒言行録は「聖霊」と強く結びついていると考えると、本書の構成は、三位一体論的であるとも言えるでしょう。
聖書を読む場合に、その視点がありますが、本書は、伝統的なプロテスタントの教会の信仰からの視点で読まれているということができるでしょう。つまり、伝統的なプロテスタントの信仰と聖書の読み方がコンパクトにまとめられています。