774 「あなたも、少しでも今より伝わるお話ができるかも」 ・・・ 「聖書のお話を子どもたちへ」(小見のぞみ、日本キリスト教団出版局、2024)

 子どもたちの前での説教が苦手で(むろん、大人たちの前でもそうですが)、この本を読んでみることにしました。すると、子ども説教のみならず、大人説教の参考になることがたくさん書かれていましたので、以下に箇条書きします。

 

〇「物語る」ことは、原稿や本を読んで聞かせるよりも効果がある。書いてあるものを読んで聞かせる場合は一方通行になりやすいが、物語ると語り手と聴き手のその場の関係性ができる。原稿を書いた上で、短い場合はそれを見ずに、長い場合もあまり見ずに、会衆を観ながら、しかも「読む」のではなく「物語る」のがベスト。

〇ひとりひとりの顔を見て、気持ちに寄り添い、語りかける。

〇導入で話をまとめて結論を言ってしまわない。(大人説教で難解な聖書箇所の場合それも聞いてもらうための一つの作戦としてありだと思いますが)

〇「今日の聖書はちょっと難しくてぼくもよくわからないのだけれど」などという言い訳を子どもにはしない。(大人にはそれが語り手と聴き手の共感になる場合もあると思いますが)

〇第一声、語り始めはだいじ。

〇話を退屈にしないために、くどい説明、不要な言葉、寄り道を省く。テンポ。スピード感。

〇子どもがふだん話したり聞いたりしている言葉で語りかける。

〇神さまの思いが伝わり、子どもがアーメン、本当にそうだね、と思われるお話し。

〇自分と聴き手との共通領域を見つけ、そこにある言葉で語る。

〇大切なことは繰り返す(くどくならないように、要点をつかんだ短いセンテンスを二度繰り返す)。

〇複合文は避け、短い文でつなげる。「佐賀県で生まれたお母さんは、東京の学校で勉強し、子どもの頃からの憧れであった看護師になりました」→「お母さんは佐賀県で生まれました。そして、東京の学校で勉強しました。それで、看護師になりました。子どもの頃から看護師に憧れていたのです」

〇会話文で生き生きと。「太郎は花子に自分が花子を愛していることを告げました」→「太郎は花子に言いました。「ぼくとつきあってください」」

〇聖書の物語を聴き手が追体験できるように。善きサマリア人の話なら、聴き手が自分が、強盗に襲われた人か、サマリア人になったように感じるように。

〇究極のモデルを聴き手に示す。「ああ、わたしもイエスさまのようになりたいなあ」と思えるように。

〇律法ではなく福音を。「神さまを愛しなさい」(律法)→「神さまはきみを愛しているよ」(福音)(→「だからぼくたちも神さまを愛したいよね」(促し))

〇失敗した人も見捨てない神さまの愛を聴き手に物語る。

〇「こわい神さま」よりも「やさしい神さま」

〇その日の聖書の箇所から、まず語り手が、神さまからの良い知らせ(福音)を読み取る。ああ、神さまはこんなにもわたしを愛してくださるのだなということを読み取る。

〇話す前にわからないことを調べることは大切だけれども、それをくどくどと話さない。物語の中に織り込む。「安息日とは本で調べたら何も仕事をしてはいけない日のことらしいですが、ある日、律法学者が・・・ああ、律法学者とは、これも本で調べたら、これこれこういう人で」→「律法学者さんがイエスさまに言いました。『安息日はどんな仕事もしてはいけないんですよ』 」

〇ことがらの省き方、省くセンスを身に着ける。全部語らなくてよい。大胆に省いてよい。でも、センス良く。いちばん大事なポイントをつかんで、それを語る。

〇「こういう悪いことはやめて、こういう良いことをしましょう」というような勧善懲悪にならないように気を付ける。箇所によってはどうやってもそうなるところもあるけど。

〇絵の利用はOK。絵はイメージをゆたかにしてくれる。ただし、イエスさまの同じ絵ばかり見せて、イメージが固定化しないようにする。その場合、ときどき、絵を替える。また、画像ばかり見せすぎて、聴き手の想像力を邪魔しないように。
〇話を作る前に、聴き手の顔ぶれを思い浮かべる。しかも、顔だけでなく、その時々の思い(たとえば、地震の直後とか、コロナの流行中とか、新学期とか)もあわせて想像する。

〇準備の時は、聖書を何度も読む。それは退屈だと思うなら、「リビングバイブル」「現代訳」「新改訳」「新改訳2017」「日本聖書協会 口語訳」「日本聖書協会 新共同訳」「聖書協会共同訳」などから何冊かを比べて読むのも一策。

〇聖書の参考書を読む場合は(読まなくてもいいけど)、できれば、一冊だけでなく二冊か三冊を比べてみる。一冊だとそれにとらわれてしまうかも。

〇お話ができたら、導入がもたもたしていないか、長文はないか、自分で読んでわかりにくい箇所はないか、読み直す。

 

 さあ、これで、YouTubeにアップロードすれば一万アクセスの聖書のメッセージができるかも知れません! もっとも、神さま、イエスさまはそんなアクセスを気になさらない、愛に満ちたお方ですが。

 

https://www.amazon.co.jp/%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%B1%E3%82%92%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%B8-%E5%B0%8F%E8%A6%8B-%E3%81%AE%E3%81%9E%E3%81%BF/dp/4818411531/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=24CDL8QWN40R8&keywords=%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%B1%E3%82%92%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%B8&qid=1707288604&sprefix=%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%B1%E3%82%92%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%B8%2Caps%2C161&sr=8-1