U-NEXT、Amazon Prime、Disney+に加入しているので、何千もの映画が毎月の定額料金で、あるいは、プラス何百円かで、ぼくは観られるのですが、何年か経った最近、観たいもの、おもしろいものを見つけるのに苦労するようになってきました。
そこで、この本を入手して、紹介されている中からおもしろそうなものを観てみようと思ったのです。110作紹介されていますが(ということは109シネマとはタイアップしているわけでなさそうですが)、解説を読んで、そのうちの7~8割は観てみたい、と思いました。
そして、U-NEXTで検索しますと、さらにそのうちの3~4割が見つかりました。ここで見つからなくても、Amazon Primeで見つかったものもあります。ただし、APでは、ほとんどが月額料金だけではだめで、300円くらい払わなくてはなりません。
でも、おかげさまで3か月分くらいの視聴待機リストができました。30作ぐらいです。
ところで、本書の作品解説は、ベタ誉めだけでなく、紹介している作品の問題点を指摘しているところもあって、気持ちよかったです。
たとえば、「アメイジング・グレイス」について。「このエンディングで白人は自分たちの加害性はすっかり忘れて、気持ちよく劇場を去れるはずだ」(p.13、この項は大宮有博さんの執筆)。するどい、まっとうな批判(非難ではない)だと感動しました。
たとえば、「楽園からの旅人」について。「「楽園からの旅人」という邦題は「不法移民」たちの過酷な現実を軽んじているようで違和感があるが(この人々は「楽園」から来たのだろうか?)」(p.211、この項は有住航さんの執筆)。
タイトルの通り「キリスト教で読み解く」のだから、解説には、救済論、神論、キリスト論、教会のあり方、愛、赦しなどの神学的テーマもところどころにあらわれます。
多文化、他宗教共生をテーマとする作品が複数紹介されていることに好感を持ちました。
ただ、帯に「日本の神学を牽引する気鋭の神学者、現役牧師たちが世界各国の映画を、キリスト教的視点から徹底解説」とありますが、神学者や牧師の一部が「日本の神学」を牽引しているのでしょうか。すべてのキリスト者が世界の神学をともに担っているのではないでしょうか。たんに「関西学院大学神学部に関わる神学教員、牧師」でよいと思います。