アウシュヴィッツでは収容者を人間でなくするために番号をつけ、それを一人一人の腕に彫る。ラリはタトゥー係になることで、生き延びる可能性が他の収容者より何百分の一か高くなったのだろうか。それでも、死は絶えず彼を訪問する。
ある日、ラリは美しい少女の細い腕に、番号を刺した。恋が始まる。死が隣り合わせの世界では、恋はいつも愛になる。いつかここから解放され結ばれる希望が芽生える。
けれども、希望は苦しみを消しも退けもしない。希望は、ただ、苦しみに耐えさせ、乗り越えさせるのだ。
彼らの苦しみはいかほどだったか。
それを乗り越えるまでにどんな出来事の数々が起こったのか。