478 「ぴーひょろろ」・・・・「とんび」(重松清、角川文庫、2011年)

 母に早く死なれ、父に去られた男が、ご近所さんや坊さんに育てられ、やがて、結婚。男の子が生まれる。けれども、妻も早くに死んでしまう。

 

 そんな男の子育て物語。というか、父親になっていく物語かもしれない。NHKと民放でテレビドラマ化され、それぞれ、堤真一内野聖陽が演じた。

 

 イエスには父親がいなかったのかも知れない。だから、神を父ちゃんと呼んだのかもしれない。物語の男にとっては、坊さんが父親代わりだったようだ。

 親は子より少しだけ早く生まれただけ。少しだけ背負うものが多いだけ。子育ては間違えの繰り返し。それでも、子どもは育ってくれる。自分の力で育ってくれる。と男は言う。

 

 親がこどもにしてやらなければならないたった一つのことは「子どもに寂しい思いをさせないこと」だと。

 

 子どもが鷹であろうとなかろうと、親はいつでもとんびなのだろう。鷹にはなれなくても、空から見守ることはきっとできるだろう。ぴーひょろろと鳴けば、うるさくても、寂しくはないだろう。

 

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