母に早く死なれ、父に去られた男が、ご近所さんや坊さんに育てられ、やがて、結婚。男の子が生まれる。けれども、妻も早くに死んでしまう。
そんな男の子育て物語。というか、父親になっていく物語かもしれない。NHKと民放でテレビドラマ化され、それぞれ、堤真一と内野聖陽が演じた。
イエスには父親がいなかったのかも知れない。だから、神を父ちゃんと呼んだのかもしれない。物語の男にとっては、坊さんが父親代わりだったようだ。
親は子より少しだけ早く生まれただけ。少しだけ背負うものが多いだけ。子育ては間違えの繰り返し。それでも、子どもは育ってくれる。自分の力で育ってくれる。と男は言う。
親がこどもにしてやらなければならないたった一つのことは「子どもに寂しい思いをさせないこと」だと。
子どもが鷹であろうとなかろうと、親はいつでもとんびなのだろう。鷹にはなれなくても、空から見守ることはきっとできるだろう。ぴーひょろろと鳴けば、うるさくても、寂しくはないだろう。