447 「絵と文によって、聖書の世界に招き入れられる」  「聖書の風景 小磯良平の聖書挿絵」(岩井健作、新教出版社、2018年)

 岩井先生は論客として知られる。とくに、社会におけるキリスト教会、キリスト教徒のあり方について、おりおりに、鋭い見解を展開してこられたと聞く。

 どうじに、やさしい先生だ。集会の時など、「一緒に座りましょう」と声をかけてくださったり、一対一で話を聞いてくださる時間を作っていただいたこともある。

 だが、美術学校行きを勧められるくらいに絵心があり、絵画に造詣のあるお方であることは、この本を読むまでまったく存じ上げなかった。

 本著は、日本を代表する洋画家と呼ばれる小磯良平が聖書の挿絵として画いた32枚について、著者の近代聖書学の知識、絵心、美術知識、小磯との交流(小磯は神戸教会員、岩井先生はその牧師だった)、そして、人間を観る神のやさしい眼差しへの感性を駆使しながら、書きこまれた一冊だ。

 小磯の挿絵では、よく母子がさりげなく描き込まれていたり、イエスを光源とした構図が用いられたりしている、という指摘はすばらしい。

 32枚の絵と岩井先生の編んだ言葉によって、文字通り、聖書が風景として浮かび上がってくる。
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