286「怒るべき時、感情的になるべき時、避けるべき時」・・・「感情的にならない本」(和田秀樹、新講社、2015年)

 感情的になるとは、たとえば、内側から湧き上がる衝動をまったく抑えることなく、それに任せて、大声を出したり、攻撃の言葉をぶつけたり、物をこわしたりすることでしょう。これは、自他を激しく傷つけ、生活や仕事に大きな影響をもたらすことがありますから、できるだけ避けた方が良いでしょう。


 けれども、どんなことにも怒らない、何事にも怒らない、そんな必要はまったくないと思います。とくに、権力を持つ者の横暴に対する怒りは、むしろ、ひじょうに大切です。たとえば、沖縄に対する日本国家の仕打ち、安保法をめぐる与党の国会運営、マイノリティヘイトなどを前にしては、怒るのは当たり前であり、強い声を出す、押し寄せる、座り込むなど、怒りを示して然るべきです。


 ただし、権力関係は、上に挙げたような社会の枠組みの中で固陋なものから、親子、夫婦、友人関係など、学習、反省、意識改革によっては和らげうるものまで、さまざまですから、これらのすべてを、ことごとく「権力による横暴だ」と怒っていては身が持たないのもたしかです。


 また、自分は牛丼が食べたいのに相手はパスタを主張したなど、権力関係によらない怒り、あるいは、自分が権力者となってしまい自分の思うようになってくれない相手、妻、子、生徒、信徒などに抱く怒りの場合も、すぐに、激しく示したり、こだわったりしない方が良いと思います。


 こうした保留をつけた上で、この本はとても参考になりました。


 「感情的になる人は自分の思い込みにこだわる人」。はい、そうです。


 「押されれば、押し返そうとするのが『感情』」。仰せのとおりです。


 「『人の悪感情』とは、まともにつき合わない」。「人の言葉を深読みすると感情が悪化する」そうだよね。まともにつきあい過ぎちゃうんだよね。深読みしちゃうんだよね。でも、安倍総理や菅官房長官の「悪感情」は見逃すわけにはいかないけどね。深読みしなくても、ふつうに伝わって来ます。


 「どんな結果でても『ひとまず』の答と見なす」。自分の仕事の結果や子どもの成績については、そうするのがよさそうだね。でも、安保法や辺野古新基地には「ひとまず」なんて言えないよ。


 「つまらないシュミレーションするクセがついていないか」。たしかに、このままだと子どもの人生はどうなるんだとか、オレの仕事はどうなるんだとか、シュミレーションしてしまうよね。でも、新基地ができてますます沖縄が苦しめられる、戦争が起こる、原発事故が起こる、放射能が人体を脅かす、そういうシュミレーションは必要だよね。


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