なにもかもおまえが悪いんだ
おまえがここにいるからいけないんだ
おまえのようなものが
何を偉そうにしているんだ
さあ、ここから出て行け
もう逃げるしかない
でも、どこに行けばよいのか
この荒れ野はどこまでつづくのか
ああ、あそこに泉が
ああ、あそこに誰かが
あなたは、どこから来て
どこに行こうとしているのですか
もう逃げるしかなかったのです
あのままだと死に絶えるしかなかったのです
いや、あなたは滅び尽くしたりはしません
あなたは言葉にできないほど
ゆたかになるのです
あなたの中にいのちがあります
あなたはやがて生むでしょう
あなたはひとりではありません
天の高いところに耳があります
地の深いところに支えがあります
あいつらを追い出してください
あいつらが憎いのです
いや、あの者たちもひとつの民です
偉大な民です
この荒れ野はどこまで続くのだろう
パンと水だけで追い出されてきたが
もうそれも尽きてしまった
背中のこの子もこのまま死んで行く
せめて木陰に寝かせよう
でも、死にゆくこの子を
すぐそばではとても見てはいられない
でも、見捨てて行ってしまうこともできない
ああ、どうしたらいいんだろう
ああ、どうしてこんなことに
神さま、いったいなぜですか
神さま、助けてくれないのですか
ああ、子どもまでも泣いている
でも、なにもしてやれない
恐れることはありません
子どもの泣き声は天にまで届きました
さあ、立ち上がりなさい
さあ、行きなさい
あの子を抱き上げなさい
あなたの腕で抱きしめなさい
あなたたちは滅びはしない
あなたたちはゆたかになる
ああ、あそこに井戸がある
おお、こんこんと湧き出ている
この子の喉もわたしの喉も
じゅうぶんに潤してくれる
体中に浸み込んでいく