(28)「パン種のないもの」

5:1-8

5:7新しい粉のかたまりのままでいるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたはパン種のないものだからです。私たちの過越の小羊キリストが、すでにほふられたからです。

 ここで「パン種」は、周りに悪い影響を及ぼすもの、というような意味で使われています。コリントの教会の中に、父親の後妻であった(つまり自分の母親ではない)女性を(おそらく父親の死後)自分の妻とするという「不品行」(5:1)があったということです。パウロはこの一人が他にも影響を及ぼすと考えたのでしょう。だから、「取り除きなさい」と言います。それは、除名、それとも、そのような行為から立ち戻らせることなのでしょうか。いずれにせよ、パウロはコリントの教会の全体がキリストの心に立ち返ることをせつに願っています。おもしろいのは、パウロは、コリントの教会は「すでに」キリストによって「パン種のないもの」とされていると信じているのです。あなたたちはキリストによって「すでに」悪いパン種のない教会にされている、だから、そうなりなさい、というのです。「すでにそうされている、だから、そうなりなさい」、これはじつに味わい深い矛盾です。

(※雑誌「百万人の福音」(2008年9‐12月)に掲載されたものです。新改訳聖書から引用しています。)