(27)「ことばにはなく、力にある」

 4:20-21   

4:20神の国はことばにはなく、力にあるのです。

 ここにある「ことば」とは、「思い上がっている人たちの、ことば」(19節)のことです。つまり、自分たちは正しい、賢い、キリストのことも良くわかっている、と傲慢になっている人々のことばのことであり、「(知者や学者の)この世の知恵」(1:20)のことであり、「自分の知恵によって神を知ろうとするこの世」(1:21)の態度のことだと思います。では、このような「ことばにはなく、力にある」というパウロが述べるとき、「力」とはどういうものでしょうか。それは、御霊によって新しく生きる力であると言えるでしょう。けれども、このシリーズの(13)で述べたように、御霊はキリストの十字架や「愚かさ」「弱さ」と深く結びついたものであり、ここでパウロが言う「力」はけっしてこの世的な力や強さではないのです。むしろ、パウロは、神の国は、人間の傲慢と結びついた知恵にではなく、キリストの十字架とともに歩む、「愚か」で「弱い」生き方にある、と語っているのです。

(※雑誌「百万人の福音」(2008年9‐12月)に掲載されたものです。新改訳聖書から引用しています。)