(13)「御霊のことば」

2:12-16

2:13この賜物について話すには、人の知恵に教えられたことばを用いず、御霊に教えられたことばを用います。その御霊のことばをもって御霊のことを解くのです。

 パウロは「御霊のことば」という表現を、ここではどのような意味で使っているのでしょうか。この13節では、「御霊のことば」は「人の知恵に教えられたことば」とはまったく異なるものを指すと思われます。パウロはこれまで「キリストの十字架」を「ことばの知恵」の(1:17)、また、「イエス・キリスト、すなわち十字架につけられた方」を「すぐれた知恵」の反対のもの(2:1-2)として描いてきました。この流れを考えますと、13節の「御霊のことば」は「キリストの十字架」に深く結びついたものだと思うのです。「御霊のことばをもって御霊のことを解く」とは、キリストの十字架のことは十字架につけられたキリストご自身が、あるいは、「キリストの心」(2:16)が説き明かしてくださるということではないでしょうか。そして、「キリストの心」は十字架という弱さ、愚かさ、苦しみに関わるものであり、たがいに知恵や力を誇って争いあう人間心理とは正反対のものなのです。

(※雑誌「百万人の福音」(2008年9‐12月)に掲載されたものです。新改訳聖書から引用しています。)