13「この子を越也と名付けよう 境を越えたからだ」

なんとひどい仕事を強いられているのか
わが同胞たちは


ああ、あの男は、わが同胞を
鞭で打った
足で蹴った
踏みつけた
唾を吐いた


赦せない
わが同胞に何をするんだ
おまえは赦せない
仲間をこんな目に遭わせて
絶対に赦せない


ああ、今度は
同胞同士のけんかだ
仲間を殴るのはやめろ


なんだ、おまえは
偉そうに
あの男を殺したように
今度は俺たち同胞を殺そうと言うのか


王さま
あの男は奴隷の分際で
わが国民を殺しました
どうか、あの男を殺してください


逃げるんだ
王の手から逃げるんだ
遠くまで逃げるんだ


ああ、喉がカラカラだ
この荒地はどこまで続くんだ
ああ、あそこに井戸がある


助けてください
羊に水を飲ませたいのですが
井戸に近づこうとすると
あの人たちが棒を振り回すのです


ありがとうございます
あの人たちを追い払ってくださったので
羊たちの喉を潤すことができました


父さん
あの人がわたしたちを助けてくれたのです


おお、その人に食事をさし上げなさい


ありがとうございます
わたしは逃亡してきました
この地にとどまってよいでしょうか


ぜひそうしてください
娘とあなたが良かったら
結婚してここに住んでください


この子を越也と名付けよう
境を越えたからだ