11…「わたしはこの子を殺しません、神が許しません」

どうしてここに
こんなやつらが
こんなにうようよしているんだ


増えるばかりじゃないか
おそろしいことだ
やつらは集まって何をしているんだ
何かよからぬことをたくらんでいるんじゃないか
おそろしいやつらだ


やつらをこれ以上のさばらせてはならない
やつらを食い止めなくてはならない
戦争が起これば
やつらは敵の味方になって
おれたちを攻撃してくるにちがいない


やつらを見張るんだ
やつらをもっと働かせろ
悪だくみをする時間も力も残らないように
こきつかうのだ
ぼろぼろにしてやるのだ
時間なんて関係ない
一日中働かせろ
休みなんかやらなくていい
怠けるやつ、逆らうやつは
たたきのめせ
生かしておくな


なんてやつらだ
まだくたばらない
まだ増え続ける
おそろしいやつらだ
憎むべきやつらだ
やつらを憎め
やつらをののしれ
やつらを打ちのめせ


粘土をこねさせろ
れんがを焼かせろ
畑を耕させろ
休む間、さぼる間、たくらむ間を
あたえるな


やつらをのさばらせるな
やつらが男の子を産んだら殺せ


そんなことはできません
神さまが創られたいのちを殺すなんて
その子が神さまからもらったいのちを殺すなんて
神さまがお許しになりません
わたしはこの子を殺しません
神が許しません


どうしてやつらがはびこっているんだ
男の子は殺せと言ったではないか
おまえたちは見逃しているのではないか


それが、あの女性たちは強靭で
わたしたちがお産の助けに行く前に
ひとりで産んでしまうのです
はい、うそではございません