444 「最悪の今国会と、国会の本来のあり方」   「枝野幸男、魂の3時間大演説 『安倍政権が不信任に足る7つの理由』」(扶桑社、2018年)

「日本人がギャンブルで損をしたカネで海外のカジノ業者を潤わせる」「アメリカに我が国を売るための法律」(p.31-32)

カジノ法とは、日本にカジノを作り、アメリカの業者を入らせ、日本にある金をアメリカへと吸い上げるための法律だということなのですね。非常によくわかりました。

この法だけでなく、高度プロフェッショナル制度導入など、今国会のすべては、提案のための資料は虚偽、質問への回答ははぐらかしに終始したものであり、「民主主義と立憲主義の見地から、憲政史上最悪の国会」(p.110)であったこともよくわかりました。

では、国会は本来どのようなものであるべきなのでしょうか。

「熟議を繰り返した結果として、多数の意見であるならば、少数の意見の人たちも納得する」(p.86)。提案者が質問にまともに答えず、押し切るような言葉だけ並べれば、審議時間は経過しますが、熟議とはほど遠いものです。

けれども、そのような熟議は、反対者が決議に納得するためだけのものではなく、反対が賛成に変わったり、賛成が反対に変わったりするような、論理的かつ説得的なものでなくてはなりません。

巻末で、解説者は、この枝野演説は、「国会議員の賛否態度に変容を迫る演説であった」と述べています。たしかに、野党の反論、批判は、言うだけ言ったではなく、なんとか相手の意見を変えていくようなものに育つべきだし、さらには、与党もそれが説得的ならば変わっていくような姿勢が熟議には本質的でありましょう。

「本来、国会は与野党の『対決の場』であると同時に、審議によって議員の考え方が変化する『合意形成の場』でもあります」(p.118) 。この解説者の言う通りです。

政党も国会も、まずは、普遍的な議論の仕方から学び直さなければならないと思います。

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