2018-12-10から1日間の記事一覧

453 「死を死ねなかった死者に生かされる」   「原民喜 詩と愛と孤独の肖像」(梯久美子、岩波新書、2018年)

原民喜には「夏の花」という小説がある。原子爆弾が投下された広島を書いたものだ。本書は、その原の、梯による評伝だ。 「原は自分を、死者たちによって生かされている人間だと考えていた」(p.14)。 死者とは誰か。 「愛する死者をいわば“聖別”することを生…