「死ぬまでボケない1分間“脳活”法」
(帯津良一、鳴海周平、ワニブックスPLUS新書、2017年)
ボケたくない、ということではありません。「ボケ」を否定的に見ているわけでもありません。
今はましになりましたが、一か月ほど前に、やたらと眠かったり、脳が動かなかったり、後頭部や首が固かったりした時期に、つい、買ってしまいました。
まあ、簡単なマッサージとか瞑想法とか、食事とか、心がけとか、呼吸法とかが紹介されています。たいてい、どこかで見たり聞いたりしたようなものですが。
ああ、この手の本の「一分」はたいていひとつの運動が一分ということで、全部で一分で済むわけではありません。
「心がけ」として良さそうに思えたものは・・・
「日常の中での小笑い(笑顔)が及ぼす健康効果も、たいへん大きいことがわかっています。しかも、口角が上がった程度でも、その効果は絶大とのこと」(p.148)。
自撮りで、笑う練習してみましょうかね(笑)。
「脳は、自分のことよりも、自分以外の人のことを考えている際に活性化するという特徴があるようです。相手の立場になっているとき、脳、特に前頭葉はとても活性化しています」(p.151)。
そうだといいですね。一石二鳥です。
「文字をなるべくゆっくりと、丁寧に書くようにすることで、健脳の要でもある『自律神経のバランス』を調えることができるのです」(p.156)。
ぼくは、字は下手で、なるべくさっさと、乱雑に書いてしまいます。苦手なことは早く終えたいので、ゆっくり書くと、ストレスで自律神経のバランスが、もっと悪くなりそうな気がします。
「ブログやツイッター、Facebookなどへ投稿する、という行為は、誰かが読んでいることを前提にしています。これは、相手の立場になってみるという、脳がとても喜ぶ刺激です」(p.157)。
たしかに、FBには一日にいくつも投稿していますし、読んでもらいたいとは思いますが(読まれているかどうかはわかりません)、相手の立場になっているか、どうか、怪しいものです。脳がとても喜んでくれるかどうかは、「いいね」やコメントにも拠りそうです。
「1分間、ただボーッっと空を見上げる。もしかしたら、これが一番簡単な脳活法かもしれませんね」(p.163)。
ほんとうですかね。首が痛くなるだけではないですか? 天井でも効果は同じですか?
「心がときめいているとき、脳は間違いなく、よい刺激を受けています。いくつになっても、誰か(何か)に恋をしているうちは、脳は老いないのです」(p.171)。
ううむ。高齢者の婚活パーティみたいになってきましたね。恋にはせつなさ、さびしさも伴いますよ、先生。「恋の喜びは、愛の厳しさへの架け橋に過ぎない」という歌もありますよ。
「相手に敬意を抱いて接するとき、お互いの脳内では、幸せホルモン『オキシトン』が分泌されていると思います。穏やかな、優しい接し方をお互いが心がけることで、それらはすべて健脳にもつながってくる」(p.187)。
やはり、ぼくは「健康な」脳ではないのかもしれません。上記のような状態はたしかに時々経験しますが、相手を見下しているとき、憎んでいるとき、激しい接し方のときが、よくあります。「健」のためというよりは、相手のために、穏やかであるべきでしょうね。
「人は、肉体的な死を迎えても、本質である『いのち』は永遠に生き続ける。その『いのち』の源泉が、虚空であるということです」(p.181)。
おお、突如、宗教、いや、哲学っぽくなりましたね。ぼくもそう思います。