(67)「レット・イット・ビー♪ ケセラ・セラ♪ そして、なんくるないさ」

 ビートルズのレット・イット・ビー♪。タイトルは「あるがままに」と訳されることもあるようですが、歌詞を見ますと、これは、困った時に、イエス・キリストのお母さん・マリアが現われて教えてくれる賢者の言葉、ということになっています。

 新約聖書を開きますと、こうあります。マリアは突然に神の子を宿したことに動転しますが、天使の言葉を聞いて、「お言葉どおり、この身に成りますように」と言います。レット・イット・ビーはこのフレーズに由来するのでしょう。こうなったら、もう、なるように任せます、ということでしょうか。

 「ケセラ・セラ」という歌があります。60年以上前にドリス・デイという人がヒットさせたそうです。日本語にも翻訳され、いろいろな人が歌ったようですが、アニメ映画『ホーホケキョ となりの山田くん』の挿入歌では「ケセラ・セラ なるようになる 未来は見えない お楽しみ」と合唱されています。 

 沖縄には「なんくるないさ〜」という言葉があります。これは、なんとかなるさ、という意味ですが、無責任や諦めから「どうにでもなれ」と言うのではなくて、アメリカ占領下あらゆる努力も報われないような困難を背負っているにもかかわらず、諦めず希望を持ち続けようとする言葉だ、と説く人もいます。

 聖書によれば、イエスはこう言っています。「空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる」「今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる」「明日のことまで思い悩むな」

 仕事、家族、人間関係、お金、体、病気。大人になれば、自分の力では解決できない問題が増えてきます。不安で、心配で、どうしようか、あれこれ案じたり、試したりしますが、どうにもなりません。

 あるいは、原発、戦争、政治家の不正のように、どうにかして止めなければならないのですが、どうやってもわたしたちの力が及ばないように思えてしまう大きな問題もあります。

 わたしたちもどうしたらよいか、考え抜きます。努力をします。けれども、同時に、神さまがきっと道を開いてくださる、神さまがきっと未来を創ってくださる、と信じ、委ねることも、きわめて大切だ、とイエスは教えてくれているのではないでしょうか。