92 「わたしらしく生きるための銃とキリスト教」

新島八重ものがたり」(山下智子、日本キリスト教団出版局、2012年)

 140頁の小著ながら、八重の生涯がわかりやすくまとめてあります。また、兄の山本覚馬や夫の新島襄のみならず、八重を批判する者たちも含めて、まわりの人物も要領よく描かれています。

  NHK大河ドラマ「八重の桜」のすぐれたガイドになるばかりでなく、女性が認められにくい社会の中での女性、あるいは、キリスト教を信仰する者にとって、非常に参考になる一冊です。八重にとっての銃と信仰の意味が浮かび上がってきます。

 著者は、福島県出身で会津若松教会牧師経験者、新島学園短期大学教員である山下智子先生で、八重を知り、語るのにもっともふさわしい女性のひとりです。山下さんならではの仕方で、八重の考えや思いを汲む記述は、類書にまさると言えるでしょう。