(14)「堅い食物」

3:1-2

3:2私はあなたがたには乳を与えて、堅い食物を与えませんでした。あなたがたには、まだ無理だったからです。実は、今でもまだ無理なのです。


 イエス・キリストの十字架こそがわたしたちの救いである、この恵みを得た者は、じつは、つぎに、その者も十字架の弱さ、愚かさ、苦しみを担う生き方へと促されているのです。そして、コリントの人々がその促しにこたえようとしていれば、教会の中でたがいに知恵や力を誇って、こんなにはげしく争ったり、弱い者を顧みなかったりするようなことにはならなかったかも知れません。けれども、パウロは、この促しは簡単には受け入れにくい「堅い食物」であって、コリントの人々には、まず「乳」を与えること、つまり、「神さまはわたしたちがどのような者であっても愛し、救ってくださる」という恵みをまず十分に示すことに専念したのではないでしょうか。パウロは、神さまの恵みを受けた人々が、こんどは神さまの促しにこたえて生きるようになることを前面に出しては説かず、ただ祈りつつ待っていましたが、コリントの教会はまだそこまで熟していなかったのです。


(※雑誌「百万人の福音」(2008年9‐12月)に掲載されたものです。新改訳聖書から引用しています。)