2022-04-08から1日間の記事一覧

641 「古い神学用語を言い換えてみると」・・・ 「書き遺す 神学へのメモ ―贖罪・文化・歴史・老いる―【増補版】」(渡辺英俊 (著)、大倉一郎(編集)、2021年、ラキネット出版)

副題にあるように、贖罪、文化、歴史、老いを考察する一冊である。 この場合の「文化」は、良質の芸術や文学というよりも、「社会」「社会の支配的な考え方」に近いように思われる。社会の固定的抑圧的な通念に抗う新しい精神の登場が述べられている。 「歴…

640   「自己顕示ではなく、書くこと」・・・「常世の花 石牟礼道子」(若松英輔、亜紀書房、2018年)

暴力的な文章がある。それは、武力攻撃や差別、侮辱、搾取、抑圧と同類だと思う。 石牟礼道子と若松英輔の文章は、暴力的な文章ではない。むしろ、暴力的な文章の暴力性を明らかにしてしまう、平和といのち、悲しみと愛に満ちた文章だ。 ふたりは、書く。わ…