310  「たくさんのひとりを救ってください」映画「オデッセイ」(マット・デイモン主演)

2010年チリ鉱山の落盤事故で地底600メートルに取り残され絶望視されていた33人が18日後に生存確認され、2か月後に救出されるということがあった。彼らが地上に引き上げられる日は、ぼくもニュースにくぎ付けになってしまった。

映画にする権利が高額で取引されたとも聞いたが、その後、映画になったという話は聞いていない・・・・と書こうとしたが、検索してみると、2016年公開だそうだ。

それにしても、この「オデッセイ」も、この事件にヒントを得たのではないかと思わるものだった。事故、救出不可能と思われるところに取り残される、それをなんとか救出しようとする。よくある筋書きと言えばそれまでだが。

火星に取り残される。つぎのロケットが来る四年後までサバイバルできない。こういう困難な状況を一挙に解決する方法はなく、まずは食料源と水減の確保、つぎに地球との通信、そして脱出計画と、ひとつひとつやり遂げていくしかない。

マット・デイモンは、「グッド・ウィル・ハンティング」では厳しい環境で育ってきた数学の天才青年の、「インビクタス」ではアパルトヘイト崩壊後のマンデラ政権下で黒人選手がひとりしかいないラグビーナショナルチームを黒人と白人の和解の象徴としつつワールドカップで優勝させるという課題を負った不屈のキャプテンの、苦悩と希望と闘いをみごとに演じたが、これと同じものをこの映画でも感じた。

エンディングには、「ホット・スタッフ」が鳴り響いた。なぜか、NASA火星探索チーム女性キャプテンのお気に入りは、ディスコ音楽。

アメリカは、ひとりのいのちを大作戦で救出する精神を愛するように思うが、たくさんのいのちも大事にし、戦争や空爆などを絶対に許さない国にぜひともなってほしい。

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