「スターウォーズ学」(清水節・柴尾英令、新潮新書、2015年)
2015年末の新作公開を機に、過去六作を一挙に観てみました。映画館で観たものもあれば、テレビで放映されていたのをチラミしたのもありましたが、六作を「シリーズ」として通して観たのは、今回初めてでした。一度では話がわからなかった部分、未消化の部分がいくつかあり、確認と整理と復習のために、本書を手にしてみました。
過去作のあらすじがまとめて記されていなかったのは期待外れでしたが、スター・ウォーズ出現の社会やアメリカ映画界の背景、ルーカスの人物像、シリーズの持つ作品としての意味・意義、ディズニーに委ねられた今後の展望などが、かなり掘り下げて、説得的に述べられています。
スター・ウォーズの楽しみ方はさまざまで、「閉塞的な空気を打ち破る世界観に痺れたと興奮する大人」がいたり、「ただひたすらに単純明快なストーリーに引き付けられる少年少女」がいたりしたとのことです。また、著者自身は、第一作については15歳で観たとき「慣れ親しんできたサブカルチャーが急速に市民権を得て、最前線に躍り出る高揚感」を覚え、シリーズ全体についてはSF映画と言うよりは「科学的根拠などに縛られないファンタスティックな叙事詩であり、大人にも向けられた寓意を含む現代の神話」だと評しています
「寓意」ということを言うならば、家族物語や成長譚としてだけでなく、やはり、国家/帝国や独裁者/暴君と闘いつづけるネヴァーエンディングストーリーとして味わい、いま、ぼくたちが前にしている反民主主義の政府・権力者を民主主義と取り替える希望としたい、とぼくは思いました。