200 「じつは、歌とは違う詩」

 「詩的思考のめざめ 心と言葉にほんとうは起きていること」(阿部公彦、2014年、東京大学出版会

 詩心を得れば、もう少し愛される言葉を綴れるのでは、という下心。

 まず、詩は、子どもの時にぼくらが持っていた世界への緊張感や興奮を喚起。

 つぎに、詩は、何かに名前をつけたいという願いとそれができないことの葛藤。

 そして、詩は、詩人の意志や意図に縛られない言葉の列挙。

 それから、詩は、歌のようにまわりを信頼して意味明瞭な言葉をのびのびと発することではなく、むしろ、そうやって歌うことへの疑念。

 それと、詩は、内容や意味を読むことへのスイッチ・オフ。

 だから、詩は、名詞を読むことの棚上げ。

 つまり、詩は、動詞、形容詞への注目。

 ところで、詩は、全部を語らず、言うのは少し。

 そのうえ、詩は、他人には通じないくらい、わたしの独特。

 では、こうすれば、詩を書けるかと言うと、そうではなく、詩は聞こえ。

 すなわち、詩は、死者の言葉の拝借。

 愛されるためなら、詩よりも、歌。

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